歯周病とはどんな病気?
歯周病とは
意外と知られていない歯周病の本当の姿
「歯周病(ししゅうびょう)」はひと昔前は「歯槽膿漏(しそうのうろう)」ともよばれていました。一般的に、リンゴをかじった時などに歯ぐきから血が出る程度の病気ととらえられていることが多いようです。しかし、現実は全く違います。
日本人の歯を失う原因1位は歯周病です
歯周病は、日本人の歯を失う原因の1位で全体の約40%にもなります。むし歯のように思うかもしれませんが、むし歯は2位で全体の約30%なのです。これでけ歯周病で歯を失っている人が多いのに、歯周病についての正確な知識が以外にもあまり知られていないのです。
日本人の成人の約80%は歯周病などの歯周疾患
さらに、日本人の成人の約80%は歯周病やその前段階の歯肉炎などになっているといわれており、もはや国民病ともいえる現実があります。それが歯周病です。
ギネスブックにも載っている歯周病
歯周病はギネスブックにも載っています。2001年、ギネス世界記録に認定され、「全世界で最も蔓延している病気は歯周病である。地球上を見渡してもこの病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない。」と記載された病気です。それほどまでに歯周病は人類全体に広まっている病気なのです。
歯周病はサイレントディジーズ(静かなる病)
しかも、歯周病は「サイレントディジース(静かなる病)」ともいわれ、自覚症状に乏しく、なかなかその進行に気付かなかったり、重要視しない傾向がります。その結果、気づいたときにはもう手遅れ、どんどん抜歯になっていってしまうといった事にもなりかねない病気なのです。
歯周病のメカニズム
歯周病の進行
では、歯周病はどのように進行するのでしょうか。歯周病は歯周病を引き起こす「細菌」によって引き起こされます。この細菌はお口の中に存在しています。お口の中には非常に多くの細菌んが生息しており、その最近にも「善玉菌」と「悪玉菌」がいます。健康な人は、善玉菌の方が割合が多く、歯周病の人は、悪くなるほどに、この悪玉菌の割合が多くなっています。悪玉菌が多くなる原因としては、様々な「リスクファクター(危険因子)」によって変わってきます。リスクファクターの内容としては、ブラッシング習慣、ブラッシング方法など、プラークコントロールできているかどうかにはじまり、遺伝的体質、飲酒、喫煙、免疫力などが組み合わさって、歯周病の発症や進行の度合いを左右します。しかし、この中で最もわかりやすく、最も直接的な要因になている部分が「プラークコントロール」にあります。
プラークの放置から進行する歯周病
お口の中には様々な細菌が生息していますが、ブラッシングなどのプラークコントロールを怠っていると、ご存知のプラーク(歯垢)が増えてきます。プラークはおびただしい数の細菌の塊です。細菌が出すネバネバとした物質で「バイオフィルム」というバリヤー状のものを作っているため、薬品などで完全に除去することは不可能です。そのため、ブラッシングなどによって、物理的にかきとることが最も効果的な方法です。
これをしないで放置しているとプラークが増えるだけでなく、特に空気を嫌う悪玉菌(嫌気性細菌)が、歯と歯ぐきの間から、奥へ奥へと入り込んできます。
歯周病菌は歯周ポケットを形成する
歯と歯ぐきの境目(歯肉溝)は通常3mm以下といわれていますが、プラークコントロールを怠っていると、細菌によってこの溝は剥がされて、どんどん深くなってきます。この深くなった部分のことを「歯周ポケット」といいます。こうなってくると、歯ブラシの毛先が届きにくくなってきて、プラークは歯周ポケットの奥に取り残される形になります。つまり悪玉菌が歯周ポケットの奥深くでやりたい放題になってしまうわけです。
感染を避けるために歯を支える骨が逃げていく
歯周ポケットが深くなり、その中では嫌気性細菌が増殖し、毒素を出し、猛威を振るうようになってきます。すると歯を支える骨(歯槽骨)が、その感染を避けるように逃げていきます(退縮)よく「骨が溶かされる」などと表現されたりしますが、この骨の退縮のことをさします。歯槽骨がどんどん退縮すると、やがて歯を支えることができなくなり、歯はグラグラになり、最後は抜け落ちてしまうのです。これが歯周病進行の結末です。